乙武氏は文筆家としての活動にとどまらず、東京都教育委員会の委員を務めるなど、公的な役割を次々と担っていった。教育現場の改革や多様性の推進を訴える姿勢は、政治ジャーナリズムの領域でも高く評価され、彼の言動は常に世間の注目を集めた。
しかし、表舞台での活躍が華やかさを増すほど、家の中での孤独な戦いは苛烈を極めた。夫の公的活動を支える「完璧な妻」であることを求められるプレッシャーは計り知れない。さらに、常に周囲の視線や芸能ジャーナリズムの追及に晒される生活は、プライベートな安らぎを奪い去った。夫婦間のコミュニケーションは次第に摩耗し、互いの距離感は決定的に開いていったのである。