昭和の熱血刑事像という強烈なパブリックイメージを鮮やかに脱ぎ捨て、新たな代表作を生み出したのが1990年代後半からの展開だった。TBSテレビで放送された『ケイゾク』、そしてその世界観を継承した『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』での野々村光太郎係長役である。鬼才・堤幸彦監督が構築するスタイリッシュかつシュールな世界観に見事にアジャストしてみせた。
一見すると愛妻家で頼りない警察幹部。しかし、極限状態で見せる部下への深い情愛と覚悟の眼差し。堤幸彦監督が繰り出すトリッキーな演出を、長年のキャリアに裏打ちされた緻密な演技で受け止め、作品の世界観に揺るぎないリアリティを打ち込んだ。野々村係長というキャラクターは、若い世代のドラマファンをも巻き込み、カルト的な人気を獲得するに至ったのである。