熊本の経済地図が塗り替わる中、田崎市場の風景もここ数年で一変した。平日の早朝にもかかわらず、スーツ姿のビジネスパーソンや、多言語を話す観光客の姿が目立つ。半導体バブルによる地元の所得向上とインバウンドの復活が、市場の飲食店に強い追い風をもたらしているのだ。
「以前は近所の常連さんばかりだったが、今は世界中からお客さんが来る」と、市場内で長年食堂を営む店主は語る。しかし、観光地化されてもなお、田崎市場が「本物」であり続ける理由は、その価格設定と妥協のない品質にある。観光地価格に魂を売らない、職人たちのプライドがそこにはある。