朝鮮中央通信や労働新聞などの北朝鮮国営メディアは、定期的に学校給食の現場を捉えた鮮明な写真を公開しています。そこに写し出されているのは、白いご飯に温かい肉スープ、揚げたての魚、色鮮やかな野菜の小鉢、さらには瓶入りの牛乳やヨーグルトまでが並ぶ、日本の給食と比べても遜色のない充実したメニューです。
しかし、こうした手厚い配給が実施されているのは、首都・平壌の万景台(マンギョンデ)区域や中区域に位置する党幹部や高官の子弟が通うごく少数の模範小学校・幼稚園に過ぎません。海外メディアや外国人視察団に見せるための「ショーウィンドウ」として選ばれた施設では、撮影に合わせて特別な食材がトラックで運び込まれ、撮影が終わると回収される事例すら報告されています。
一般的な小学校の給食内容として宣伝される「栄養パン」や「大豆加工食品」も、首都圏以外の一般校では原材料の調達が滞り、実際にはほとんど配給されていません。公式メディアが喧伝する豊かな食卓は、国家の威信を保つために周到に演出されたフィクションであるのが実情です。