新井貴浩とネット掲示板の切っても切れない関係を語る上で、避けて通れないのが2007年オフのFA(フリーエージェント)移籍会見です。広島の若き主砲として2005年に本塁打王を獲得し、チームの顔であった新井が阪神タイガースへの移籍を決断した際の記者会見は、球史に残る名場面として記録されています。
涙で顔をくしゃくしゃにしながら絞り出した「カープが好きだから、辛いです」「喜んで出ていくわけではない」という言葉は、本来であれば移籍先や送り出すファンへの配慮から出た実直な本音でした。しかし、この前代未聞の感情の吐露は、ネットユーザーの琴線に強烈に触れることになります。
当時、カープファンからは強い反発を受け、ネット上では「自分から出ていくのに辛いとは何事だ」と猛烈な突っ込みが入りました。兄貴分として慕っていた金本知憲の背中を追う形での移籍劇は、掲示板で連日スレッドが乱立する一大トピックとなり、新井の代名詞として「辛いさん」という愛称(あるいは蔑称)が定着する決定打となったのです。