2018年夏の第100回全国高校野球選手権記念大会。金足農の快進撃を語る上で、マウンドに立ち続けたエース・吉田輝星(現・プロ野球選手)の存在を外すことはできない。予選から甲子園準決勝までの全試合をほぼ1人で投げ抜いたあの夏、彼が投じた881球は、日本中を狂熱の渦へと巻き込んだ。伸びのある最速150キロ超の直球と、土壇場で見せるギアチェンジ。何より、どんなに打ち込まれても表情一つ変えずに仲間を信じて投げ切る姿は、見る者の胸を強く打った。
あの夏、ベンチ入りメンバーがほぼ固定され「金農ナイン」と呼ばれた9人の戦いぶりは、選手層の厚さで勝負する現代野球への強烈な回答だった。交代枠をフルに活用する戦略的野球が主流となる中で、満身創痍になりながらも最後までマウンドを守り抜いた吉田の姿は、高校野球の「美徳」と「過酷さ」の両面を世界に問いかける契機ともなった。この出来事を境に、投手の登板過多や球数制限を巡る議論が一気に加速したことは記憶に新しい。