清純派や快活なヒロインにとどまらず、倍賞美津子を「日本を代表する大女優」へと押し上げた最大の転機が、1979年に公開された今村昌平監督の傑作『復讐するは我にあり』でした。
稀代の殺人犯を追う本作で、彼女は緒形拳演じる主人公の情婦・ハル役を熱演。人間の業や生々しい情動を体当たりで表現し、ブルーリボン賞助演女優賞をはじめ数多くの映画賞を総なめにしました。その後も今村監督のカンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作『楢山節考』(1983年)や『うなぎ』(1997年)、黒澤明監督の『影武者』『夢』など、巨匠たちの代表作に欠かせないミューズとして日本映画史に不滅の足跡を刻んでいます。