怒りが湧き上がる瞬間、人は思考する前に反応してしまう。『EQ 心理的知能』の著者として知られる心理学者ダニエル・ゴールマンは、これを「ハイジャック」と表現した。生存の危機を感じた脳が0.1秒未満で身体を戦闘モードへと切り替え、理性を跳ね飛ばしてしまう現象だ。
この衝動のパターンを解き明かすうえで有効とされるのが認知行動療法である。人は「出来事」に直接怒るのではなく、「こうあるべきだ」という認知の歪みを通して出来事を受け止めることで激怒する。組織におけるメンタルヘルスケアの現場でも、この思考の癖を客観視するアプローチが標準手法として採用されつつある。自分の思考パターンをあらかじめ把握しておくことこそ、反射的な爆発を食い止める防波堤となる。