凄惨な現場の多くは、見通しの悪い沢筋や笹藪(ささやぶ)、あるいは民家から数百メートルしか離れていない里山の境界付近です。発見時の状況を警察関係者の証言から総合すると、被害者の多くは突発的な遭遇による先制攻撃を受け、逃げる間もなく致命傷を負っています。
現場には激しい争いの痕跡とともに、引き裂かれた衣服や所持品が広範囲に散乱しているケースが目立ちます。さらに捜査関係者を震撼させているのが、倒れた被害者を引きずり込み、土や木の葉を覆いかぶせる「埋蔵行動(通称・土饅頭)」が確認された事案です。これは熊が獲物を他の動物に奪われないよう一時的に隠す特有の習性であり、人間を単なる排除対象ではなく「食害対象」として認識していた可能性を物語っています。
急斜面や鬱蒼とした森林内での現場検証は、加害熊が周囲に潜伏している恐れが極めて高く、猟友会のハンターが銃を構えて警戒する中で極度の緊張感をもって進められます。