本作の真骨頂は、落ちこぼれと呼ばれた少女が立派な街の医者へと成長を遂げるプロセスにある。ここからは、そのストーリーの変遷を辿る経緯解説を行いたい。
物語の序盤、主人公は優秀な父や兄と比較され、自信を持てない日々を送っていた。しかし、終戦直後の混乱期に人々の困窮と傷ついた心に接したことで、医学の道を志す決意を固める。女子医学校での過酷な勉強、研修医時代の失敗と葛藤、そして地元・蒲田で地域医療の現場に飛び込んでいく過程は、泥臭くも圧倒的なリアリティを持って描かれた。単に華やかな成功体験を描くのではなく、愚直に地域の人々と向き合い続けた軌跡こそが、全編を通じた最大の魅力となっている。