1990年代初頭、日本アニメーション産業は急速な変革期を迎えていた。スタジオジブリも例外ではなく、宮崎駿や高畑勲といった巨匠に依存する制作体制からの脱却と、次世代を担う若手クリエイターの育成が急務とされていたのである。そこで浮上したのが、日本テレビの開局周年企画と連動したテレビ映画のプロジェクトだった。
監督に抜擢されたのは、当時アニメ界で若手実力派として注目を集めていた望月智充。そして作画監督・キャラクターデザインを務めたのは、ジブリ生え抜きの実力者である近藤勝也だ。ジブリ史上初となる「巨頭不在」の制作現場は、若手たちの熱気と試行錯誤に溢れていた。スタジオジブリの看板を背負いながらも、どこか軽やかで清新な風を吹き込んだ本作は、当時のアニメ界にとっても挑戦的な実験作だったのである。