すべてのメディア展開における視覚的な原点となっているのが、原作ライトノベルの装画・挿絵を手掛けるしのとうこ氏の存在です。
しのとうこ氏が描く『薬屋のひとりごと』の世界は、水彩画のような淡く透明感のある彩色と、どこか幻想的でエキゾチックな空気感を纏っています。過度な陰影や誇張を避けつつ、中華風の架空宮廷が持つ壮麗さと陰謀の不穏さを、優美な筆致で見事に表現してきました。
ファンの間で大きな反響を呼んだ『しのとうこ画集 薬屋のひとりごと』では、これまでに描き下ろされた小説表紙や口絵、雑誌特典イラストなどが網羅されており、キャラクターデザインの変遷や色彩設計の妙を一覧することができます。猫猫の凛とした佇まいや、後宮に渦巻く湿度の高い空気感は、しのとうこ氏の卓越したアートワークなくして成立し得なかったと言っても過言ではありません。