彼の真骨頂は、王道ヒーローのライバル役に留まらない。『ゴールデンカムイ』の白石由竹で見せた、飄々としながらもどこか憎めない愛嬌と人間臭さ。過酷な北の大地で繰り広げられるサバイバル劇の中で、白石のコミカルな叫びや間の抜けたリアクションは、物語の極上の清涼飲料水となった。
一方で『弱虫ペダル』の田所迅役では、チームを牽引する肉弾スプリンターとしての豪快さと泥臭い情熱を炸裂させた。「暴走の肉弾頭」の異名にふさわしい肺活量全開の咆哮は、ファンの胸を熱く焦がした。愚直な熱血漢から愛すべきトリックスターまで、作品のトーンに合わせた自在なチューニング力こそ、伊藤健太郎の底知れぬ実力だ。