「初期費用が安いから」という理由だけで敷金ゼロ物件を選ぶのは早計だ。居住期間によっては、むしろ通常の敷金あり物件よりも総支払額が高くなる「損益分岐点」が存在するからである。
例えば、敷金ゼロの代わりに月額賃料が3,000円高く設定されている物件があるとしよう。初期費用で敷金10万円(家賃1ヶ月分)を浮かせたとしても、34ヶ月(約2年10ヶ月)以上住み続けた時点で、上がった家賃の累計額が浮かせた敷金額を上回ってしまう。さらに、敷金ゼロ物件の多くは退去時に実費精算となるため、入居時に敷金を預けていない分、退去時に一度に数万円から十数万円の現金を用意しなければならない。短期入居なら特約の解約違約金リスク、長期入居なら毎月の賃料上乗せリスクが発生する。自身が入居する期間の予測と総費用のシミュレーションが、損益分岐点を見極める最大の鍵となる。