有村架純という俳優の真価を世に知らしめたのは、間違いなく本作のヒロイン・谷田部みね子役だろう。それまでの朝ドラマヒロイン像といえば、強い意志で時代を切り拓く偉人や、突出した才能を持つ女性が主流だった。しかし、みね子は違う。どこにでもいる普通の少女であり、特別に器用でもなければ、巨大な野望を抱いているわけでもない。
仕送りをするために集団就職で上京し、工場でトランジスタラジオを組み立て、洋食屋でホールスタッフとして働く。その一つひとつの小さな歩みを、有村は驚くほど自然体で演じきった。悲しいときには泣き、美味しいものを食べれば目を輝かせる。2026年現在の彼女の目覚ましい活躍を振り返るとき、この「何気ない日常をドラマに変える圧倒的な演技力」の原点がみね子にあったことは疑いようがない。