主催団体であるレコーディング・アカデミーとカニエの間には、長年にわたる深い溝が存在する。数々のトロフィーを手にしながらも、グラミー賞の制度的権威を公然と批判してきたカニエにとって、授賞式のレッドカーペットは自らの美学を誇示するための格好のキャンバスに過ぎない。
ビアンカは単なるトロフィーワイフではない。ブランド「YEEZY」の建築責任者として、カニエのビジョンを空間的・視覚的に具現化する共同創作者だ。彼女の装いは、型にはまったセレブリティのドレスコードをあざ笑うかのような痛烈なメッセージであり、既存の権威に対するカウンターカルチャーの表明だった。