園芸ビギナーからプロの造園職人まで幅広く使われる「ひこばえ」という言葉ですが、漢字では「彦生え」「蘖」「枿」と表記されます。語源を遡ると、古語における男子や孫を指す「彦(ひこ)」と「生え」が組み合わさったもので、親木から新たに生まれた子ども(孫)のような若枝を愛でるニュアンスが込められていました。
植物学的な観点では、樹木の地際や浅い根から突発的に発生する「不定芽(ふていが)」や「休眠芽」が伸長した枝を指します。樹木は強風による枝折れ、強剪定、根の傷み、病害虫被害、あるいは樹勢の衰えを感じた際、自己防衛反応として光合成量を瞬時に補うために根元から強力な新芽を一気に吹き出させます。つまり、樹木の根元から生える芽は、樹体が危機を乗り越えようとする強烈な生命力の現れでもあるのです。