「トイプードルとして血統書を取得しているのに、なぜ大型化するのか?」という問いの答えは、プードルという犬種の品種改良の歴史そのものに隠されています。
プードルの原種は、水辺でカモなどの回収作業を担っていた大型の猟犬「スタンダードプードル(体重20〜30kg前後)」です。これを人間の都合に合わせて段階的に小型化させて生み出されたのが、中型のミニチュアプードルであり、さらに愛玩用に極小化させたのがトイプードルです。つまり、現代のトイプードルの体内には、数百年におよぶ大型・中型作業犬の遺伝子の歴史が今も眠っています。
血統の掛け合わせにおいて、数世代前の先祖が持っていた優性遺伝子が突発的に発現する現象を「先祖返り」と呼びます。直近の父親犬・母親犬が3kg前後の標準体型であっても、祖父母や曽祖父の世代にミニチュアプードルの血が強く入っていた場合、その骨格遺伝子を受け継いだ子犬は、ミニチュアサイズ相当(体高28〜35cm)まで引き延ばされるように成長します。
また、昨今の繁殖市場において「タイニー」や「ティーカップ」といった極小個体を無理に作出するために、母体の安全を考慮して母犬にあえて骨盤の広い大柄な血統を用いるブリーダーも存在します。結果として母犬側の大柄な骨格遺伝子を濃く受け継いだ個体が、販売時の想定を超えて逞しく育つ構造的背景も否定できません。