インターネット上の健康情報やSNSでは「靴の外側が減るのはすべて異常であり、直ちに矯正が必要」といった極端な言説が散見されます。しかし、この解釈にはバイオメカニクス上の重大な盲点が存在します。
前述の通り、人間の正常な直立二足歩行において、着地初期(イニシャル・コンタクト)は踵骨(しょうこつ)の外結節から入るのが自然な骨格構造です。そのため、靴のヒール後端の外側がわずかに減る程度であれば、むしろ股関節や膝がスムーズにあおり運動を行えている健全な証拠です。
真に危険視すべき境界線は、「かかとの中央〜外側前方にまで削れが広がっているか」「小指の付け根付近の外側ソールが薄くなっているか」「靴を平らな床に置いたときに外側に傾いて倒れるか」の3点です。この見極めを誤り、正常なかかとの減りに対して過度な内側荷重歩行を無理に意識してしまうと、かえって偏平足や外反母趾を誘発するリスクがあるため注意が必要です。