過剰な競争社会やSNSを通じた人間関係の摩擦に晒される子どもたち。彼らが発する目に見えないSOSを拾い上げる「学園医療漫画」というジャンルが、漫画界で急速に確固たる地位を築いている。内科や外科といった病院の診察室とは異なり、保健室は「病名がつかない生きづらさ」を持ち込む場所だ。
身体の痛みを訴えて来室する生徒の裏に、家庭環境の不全や学校内での孤立、精神的な抑圧が隠されているケースは少なくない。読者は登場人物たちの苦悩に自らの過去や現状を重ね合わせ、傷つきながらも生きようとする姿に深く感情移入する。過度なドラマチックさではなく、静かで確かな救いのプロセスを描き出す文脈こそが、疲弊した現代人の心に刺さる理由である。