俳優人生の幕開けは、まさに衝撃的だった。TBSテレビが制作した金字塔『岸辺のアルバム』で、崩壊していく中流家庭の長男・繁役を熱演。家族の欺瞞や若者の焦燥感をリアルに表現し、第15回ギャラクシー賞をはじめ数々の賞を総なめにしたこの作品で、国広富之の名は全国に知れ渡る。
続いて出演したのが、山口百恵主演の赤いシリーズ最終作『赤い絆』だ。大映テレビ特有のドラマチックで劇的なストーリー展開の中、運命に翻弄される青年を情熱的に演じきり、トップアイドルの相手役として絶大な支持を獲得。昭和の日本のテレビドラマが持つ熱量と緊迫感を、全身で体現した。
重厚なリアリズムからケレン味あふれる大映ドラマまで、幅広い作風に柔軟に適応する柔軟性と瞬発力。この時期に叩き込まれたドラマ作りの神髄が、その後の長いキャリアを支える頑強な背骨となった。