物語が「マーレ編」へと移行し、正義と悪の二元論が完全に崩壊したThe Final Seasonにおいて、楽曲が提示する視点も劇的な進化を遂げました。その頂点に位置するのが、SiMによる「The Rumbling」とヒグチアイによる「悪魔の子」です。
「The Rumbling」は、地鳴らしという未曾有の大虐殺を実行するエレンの脳内モノローグをそのままメタルコアの轟音に乗せた衝撃作でした。米ビルボードのハードロック・ソング・チャートで1位を獲得するなど、言語の壁を越えて世界中で爆発的な反響を呼んだ背景には、《If I lose it all, slip and fall, will you laugh at me?》(もし全てを失い、滑り落ちたら、君は僕を笑うだろうか?)という、怪物にならざるを得なかった少年の剥き出しの弱さと悲鳴が凝縮されていたからです。
これと対をなすEDテーマ「悪魔の子」は、ピアノと歌声というシンプルな構成でありながら、作品の核心を鋭利に切り裂きました。歌詞にある《鉄の弾が 正義の証明 貫けば 英雄に近づいた その目を閉じて 触れてみれば 同じ形 同じ体温の悪魔》という一節は、互いを悪魔と呼び合い殺し合うエルディアとマーレ、ひいては現実世界の戦争構造を痛烈に告発しています。他者を排除しなければ生き残れない残酷な世界で、それでも誰かを愛してしまう人間の矛盾。この2曲が連続して配置されたことで、視聴者はエレンの罪と罰を立体的に体感することになりました。