視聴者のSNSや掲示板などで「おばあちゃんは影が薄いのではないか」「セリフが少ない回が多い」といった意見が散見されます。しかし、この「影の薄さ」こそが、脚本およびキャラクター造形における高度な計算に基づいた設計です。
さくら家の日常劇は、ヒロシの無気力な発言、すみれの叱責、友蔵とまる子の暴走という強烈なキャラクター同士の衝突によってドライブします。もしここに祖母であるこたけまで自己主張の強いキャラクターとして配置されてしまうと、家庭内の会話劇は過密状態に陥り、コメディとしてのテンポが破綻してしまいます。
おばあちゃんが淡々と茶をすすり、「何でも美味しく食べられればそれが一番だよ」と呟くワンクッションがあるからこそ、視聴者は感情の整理をつけることができます。つまり、彼女の控えめな存在感は演出上の「意図的な余白」であり、さくら家が崩壊せずに家族としての温かみを保ち続けるための重要なストッパーなのです。