1970年代、ポジティブ心理学の先駆者であるミハイ・チクセントミハイ教授は、芸術家や外科医、アスリートらが極度の集中状態にある時の意識構造を研究し、それを「フロー」と命名しました。チクセントミハイは自著の中で、フロー体験を「活動そのものに完全に没頭し、自我の意識が消失し、時間の経過感覚が歪むほどの至福と集中の状態」と描写しています。
現代のビジネスパーソンにとっても、このフロー体験と集中力のマネジメントは極めて重要なテーマです。心理学の実証研究が示す、意図的にゾーンに入る方法の条件は以下の通りです。
第一の条件は「挑戦の難易度と自己スキルの高度な均衡」です。課題が簡単すぎると退屈を感じ、難しすぎると不安やストレスが生じます。自分のスキル上限を約4〜5%上回る、わずかに背伸びが必要な難度設定が最もフローに入りやすいとされています。
第二に「明確な目標と即座のフィードバック」が挙げられます。何を達成すべきかが曖昧な状態では脳のワーキングメモリが浪費されます。今行っているアクションが成功しているかどうかがリアルタイムでわかる環境を整えることで、意識の散漫を防ぐことができます。
第三に「マルチタスクの完全な遮断」です。スマートフォンの通知や突発的な話しかけなど、注意を分断する要素を排除したディープワーク環境を作ることが、深い没入状態への扉を開きます。