支笏湖畔に広がる苔の回廊について、「全体が完全に封鎖されたのか」という疑問を抱く旅行者は少なくありません。結論から言えば、かつて絶景スポットとして広く紹介されていた「第1苔の回廊」は崩落のため立ち入りが制限・自粛要請されており、現在探勝の対象となっているのは主に「第2苔の回廊(楓沢ルート)」です。
第1苔の回廊が立ち入り禁止となった最大の理由は、過去の台風や記録的集中豪雨による外壁の大規模崩落と土砂流入にあります。樽前山の火山活動によって堆積した火山灰や軽石(テフラ)の地層は非常に脆く、水流の侵食によって形成された回廊状の地形は、強い雨や雪解け水で容易に崩れます。崩落によって貴重な苔の群落が広範囲にわたって剥落しただけでなく、落石や頭上からの土砂崩れの危険性が極めて高くなったため、林野庁や地元自治体によって進入自粛や注意喚起の看板が設置されるに至りました。
一方、現在訪れる人が多い第2苔の回廊も、木道や手すりが整備された観光施設ではなく、「国有林内の自然の枯れ沢」である点に変わりはありません。2026年現在も地盤の緩みや倒木が各所で確認されており、天候や季節によって立ち入りリスクが刻一刻と変化しているのが実情です。