「無敵艦隊」という皮肉交じりの愛称が日本で妙にマッチしてしまった背景には、2000年代半ばまでスペイン代表が抱えていた「勝てない時代」のトラウマがありました。
当時のスペインは、レアル・マドリードやFCバルセロナといった世界最高峰のクラブを国内に抱え、タレントの質は常に世界トップクラスでした。ワールドカップ予選でも圧倒的な強さを見せつけるため、大会前には毎回のように優勝候補に挙げられていたのです。
しかし、いざ本大会が始まると決勝トーナメントの早い段階やベスト8でコロリと敗退。いつしか「予選の王者、本大会の敗者」という不名誉なレッテルを貼られることになりました。その主な要因として指摘されていたのが以下の点です。
一つは、カタルーニャ(バルセロナ)とカスティーリャ(マドリード)、バスクといった国内の根深い地域対立です。クラブ同士の過度なライバル心が代表合宿にまで持ち込まれ、チームとしての一体感が欠如していました。もう一つは、メディアからの異常な重圧によるメンタル面の脆さです。「華麗なタレントを揃えながら大舞台であっけなく沈む姿」が、かつて海戦で敗れ去った艦隊のイメージと重なり、悲劇的な強豪としての物語を形作っていました。