「吐き気や胃のむかつきがある」「体がほてって微熱が続く」「異様な眠気に襲われる」といった、いわゆる妊娠初期症状の典型例を自覚していながら、検査薬が陰性を示すケースに混乱する読者は少なくありません。
この現象の真相は、排卵後に分泌が増加する「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の作用にあります。プロゲステロンは受精卵が着床しやすいように子宮内膜を整え、体温を上昇させる働きを持っていますが、同時に消化器の働きを鈍らせて胃もたれや吐き気を引き起こしたり、自律神経に作用して強い倦怠感や情緒不安定をもたらしたりします。
つまり、月経前症候群(PMS)の諸症状と妊娠超初期症状は、どちらもプロゲステロンの影響を強く受けるため、自覚症状のみで両者を正確に見分けることは医学的に不可能です。
さらに、「早く妊娠したい」「絶対に妊娠していてほしい」という強い願望や過度な緊張が自律神経を刺激し、妊娠に酷似した心身の変化を招く「想像妊娠」と呼ばれる状態に陥るケースもあります。体調の違和感をつわりと決めつけず、ホルモンの波による身体的反応として客観的に捉える姿勢が求められます。