この大会は、アフリカやアジアで相次いで誕生した新興独立国が、国際舞台に自らの存在をアピールする絶好の機会となった。なかでも世界中に衝撃を与えたのが、エチオピアのアベベ・ビキラだ。
ローマ大会での素足での金メダル獲得に続き、東京ではシューズを履いてマラソン競技に登場。盲腸の手術からわずか数週間という厳しい状況をはねのけ、史上初の2大会連続金メダルという金字塔を打ち立てた。彼の圧倒的な走りは、アフリカ勢のポテンシャルを世界に知らしめ、その後のスポーツ界における潮流を決定づけた。新しく誕生したばかりの国々の選手たちが、自国の誇りを胸に全力で汗を流す姿は、人々の心に深く刻み込まれたのだった。