気候変動と並んで現場の頭を悩ませているのが、人里周辺で野生化したノイヌの群れだ。放牧地域の拡大や観光客の増加に伴い、大型のマスティフ系混血犬が野生化し、高原の奥深くまで進出している。体が小さく単独行動を好むキツネにとって、群れで行動するノイヌは致命的な競合相手だ。
ナキウサギの巣穴を巡る直接的な争いだけでなく、狂犬病やジステンパーといった伝染病の媒介リスクも無視できない。カメラトラップには、ノイヌの群れに遭遇して岩の割れ目に身を潜める切迫した姿が幾度となく捉えられている。静かな高原の生態系バランスが、人間の活動の陰で大きく揺らいでいる。