「松屋のメニューは本当に塩分が高いのか?」という疑問に答えるべく、まずは主要各社が公表している栄養成分表を突き合わせてみよう。
大手牛丼チェーン3社の標準的な並盛における塩分相当量を比較すると、意外な事実が浮かび上がってくる。吉野家の牛丼(並盛)の塩分相当量が約2.7g、すき家の牛丼(並盛)が約2.5gであるのに対し、松屋の牛めし(並盛)は約2.8g前後と、実は数値の上では極端な差があるわけではない。
それにもかかわらず、なぜ舌が捉える塩分感にこれほどの乖離が生まれるのか。最大の理由は「甘味と塩味のバランス」にある。他社が玉ねぎの甘みや砂糖、みりんのコクで塩気を包み込むマイルドなアプローチをとるのに対し、松屋は砂糖の甘さを極力抑え、醤油と出汁のキレをダイレクトに聴かせる配合を選んでいるからだ。塩分の絶対量そのものよりも、甘みが削ぎ落とされたシャープな味付けが、人間の味覚に塩辛さとして強くインプットされるのである。