この楽曲の世界的インパクトを決定づけたのが、映画界の巨匠マーティン・スコセッシ監督が手がけた18分を超える圧巻のショートフィルムだ。ニューヨークのブルックリンにあるホイット・シャーマーホーン・ストリート駅で撮影された映像は、単なるプロモーションの枠を超え、短編映画としての凄みを漂わせている。
実はこのストーリー、実在した黒人青年の悲劇的な事件から着想を得ている。私立の名門校に通い期待されていた若者が、帰郷時にストリートの過酷な現実に巻き込まれた実話だ。スコセッシ監督は、マイケルが演じる主人公ダリルを通じて、異なる二つの世界の間で揺れ動く若い魂の葛藤を容赦なく描き出した。
当初、劇中でマイケルの対立相手となるミニ・マックス役にオファーされていたのは、なんとプリンスだった。しかし、プリンスは歌詞の冒頭ライン「Your butt is mine(お前の尻は俺のものだ)」を自分が歌うこと、そしてマイケルの影に回ることを拒否して辞退した。もし二人の世紀の共演が実現していたら、音楽の歴史はまた違った形になっていたかもしれない。