インターネット上で「三本コーヒー」と検索すると、サジェストに「まずい」という極端なワードが出現します。長年業務用から家庭用まで高品質な豆を提供してきた名門ロースターに、なぜこのような噂が立つのでしょうか。愛飲者の生の声と業界構造から分析すると、明確な2つの構造的要因が浮かび上がってきます。
第1の要因は、「味覚のトレンド変化とクラシックな焙煎設計のズレ」です。三本珈琲(M.M.C.)の真骨頂は、ブラジルやグァテマラ産の上質な生豆をベースにした、どっしりとしたコクと芳醇な苦味にあります。これは昭和のホテルラウンジや老舗純喫茶で重宝されてきた正統派の設計です。一方で、近年主流となったサードウェーブコーヒー(浅煎り特有のベリー系や柑橘系のフルーティーな酸味)を好む層が口にした場合、「苦味が強すぎる」「焦げ感が気になる」とネガティブに受け止めてしまうケースが存在します。
第2の要因は、「駅ホーム自販機やオフィス給茶機における抽出環境の個体差」です。新幹線の待ち時間にJR駅ホームのM.M.C.自販機で飲んだユーザーが、マシンのメンテナンス状態や抽出温度のブレによって本来のポテンシャルを味わえなかった体験談をSNS等に投稿し、それが誇張されて拡散された経緯が確認できます。
実際の消費者レビュー(大手ECサイトや知恵袋、レビューサイト)を調査すると、「酸味が少なくミルクによく合う」「昔ながらのコク深い珈琲で一番落ち着く」「ドリップバッグの手軽さと香りの立ち方が別格」といった肯定的な評価が8割以上を占めています。「まずい」という評価は品質不良ではなく、深煎り主体のクラシックスタイルと飲む人の嗜好の不一致から生じた誤解に過ぎません。