巨大衣装をめぐっては、インターネット掲示板やSNSで定期的に浮上する「ある典型的な誤解」が存在します。
それが「公共放送であるNHKが、受信料を湯水のように使って小林幸子の衣装を作っているのではないか」という批判的な言説です。しかし、この噂は完全な事実無誤認です。
NHKが番組制作費として拠出するのは、通常の歌手と同様の出演料および番組美術としての基本セット設営費のみであり、巨大な可動ギミックや豪華な装飾にかかる数千万円から数億円の費用は、小林幸子の所属事務所が100%自費負担していました。つまり、公共の財源を浪費していたのではなく、民間の一アーティストが観客を驚かせたい一心で自腹を切っていたのが実情です。
さらに、あまり知られていない盲点が「現場での命がけの危険性」です。地上5〜8メートルの高所へ生身で持ち上げられる構造上、本人は毎回、万が一の落下事故に備えた特殊ハーネスをドレスの内側に装着していました。また、狭小な機械内部での待機による酸欠リスクや、照明機器が発する強烈な熱気による熱中症リスクとも隣り合わせでした。華やかな笑顔の裏側には、アクション映画さながらの身体的危険を背負う覚悟があったのです。