旅行者が最も衝撃を受けるトラブルのひとつが、空港の保安検査場における「お菓子の没収」です。特に国際線を利用する際、楽しみにしていたご当地ゼリーや高級プリン、あるいはカップ入りの水羊羹がその場で廃棄処分となる光景は、現場の検査員にとっても日常茶飯事の事態となっています。国土交通省航空局および国際民間航空機関(ICAO)の厳密な規定によると、液体物制限は飲料水だけでなく「常温で液体、ジェル状、ペースト状になるすべての物質」に適用されるためです。
多くの乗客が「ゼリーはお菓子であって飲み物ではない」と認識しがちですが、保安基準上の分類では水分を多く含むゲル状物質はすべて液体と同列に扱われます。国際線の機内持ち込み手荷物ルールでは、あらゆる液体・ジェル類は「100ml(100g)以下の個々の容器」に収めた上で、容量1リットル以下(縦横約20cm以内)の再封可能な透明プラスチック袋に一括して収納しなければ持ち込みが許可されません。市販されている一般的なカップゼリーやプリンの多くは1個あたり120g〜160g前後であるため、たとえ未開封であっても例外なく没収の対象となります。
一方、国内線においては液体物の持ち込み基準が国際線とは大きく異なります。日本国内の定期便では、爆発物等の危険物検査を主目的としているため、ペットボトル飲料と同様にゼリーやプリン、生菓子であっても手荷物検査機を通過させれば原則としてそのまま機内へ持ち込むことが可能です。ただし、国際線乗り継ぎ便を利用する場合や、海外の空港から日本へ帰国する際には現地の国際線ルールが一律に適用されるため、「行きは持ち込めたのに帰りに没収された」というトラブルが頻発しています。免税エリアで購入した商品を除き、搭乗ゲート手前での破棄を防ぐためには、容量表記の事前確認が必須です。