明石高専をめぐるインターネット上の言説には、過度な礼賛だけでなく、留年や過酷なカリキュラムを巡るネガティブな噂も散見されます。こうした情報の真偽を冷静に腑分けしなければなりません。
最も警戒すべき現実が「赤点基準の厳しさ」です。一般的な高校では中間・期末試験の赤点ラインが30点前後に設定されているケースが多いのに対し、高専では一律で「60点未満が不可(赤点)」と定められています。一度でも単位を落とせば、厳しい再試験や課題レポートが課され、必修単位を落とした場合は容赦なく原級留置(留年)となります。各学年で数%から1割前後の留年生が発生する年度もあり、「自由な校風に甘えてスマホゲームやアルバイトに溺れ、気がついたら進級できなくなっていた」という失敗談は枚挙にいとまがありません。
また、ネット掲示板や知恵袋などで揶揄される「高専病」という言葉の真相にも触れておく必要があります。これは、男子比率の高さや理系特有の濃密な人間関係に5年間浸かりきった結果、文系の一般的な大学生のようなコミュニケーション様式に馴染みにくくなる現象を指します。しかし、現在の明石高専生を観察すると、学外のハッカソンやインターンシップへの積極参加、部活動での他校交流を通じて洗練された対人力を持つ学生が極めて増えています。むしろ課題となるのは、「途中で文系進路に転向したくなった場合の軌道修正の難しさ」であり、15歳という若さで進路を理系工学に固定することのリスクこそが、本質的な盲点と言えます。