国の重要無形民俗文化財に指定されているこの儀礼は、室町時代から続く神聖な伝統祭礼・神事だ。そのクライマックスとなるのが、真夜中に行われる宝木投下である。すべての照明が一斉に消され、完全な暗闇の中で御福窓から2本の宝木(しんぎ)が投げ込まれた瞬間、境内の熱気は臨界点を突破する。
宝木を手にした者に福が得られるという信仰が、男たちを猛烈な奪い合いへと駆り立てる。しかし、視界ゼロの暗闇で数千人が一点に向かって殺到する構造そのものが、極めて危険な「群衆雪崩」を誘発する温床となっていた。日本三大奇祭の迫力と神聖さは、常に死線と隣り合わせの構造的リスクの上に成り立っていたのだ。