桐生の麺を語る上で外せないのが、気の遠くなるような時間をかけて培われた製麺技術だ。古くから機織り職人の素早い食事を支えてきた小麦文化は、ラーメンの麺作りにも色濃く受け継がれている。青竹や手揉みによって生み出される手打ちラーメンの不揃いなちぢれ麺は、スープを驚くほど抱き込み、啜るたびに異なる食感となって口内で跳ねる。
昨今のフード&ビバレッジ業界では効率化と均一化を求めた機械製麺が主流となりつつあるが、桐生の麺職人たちは頑なに手の感覚を信じる。加水率の微調整、熟成にかける時間、気温や湿度に応じた小麦粉の配合比率。日々の細やかな対話から生まれる麺は、一口噛みしめれば小麦の甘みがじんわりと広がり、単なる主食を超えた工芸品のような気品を放つ。