板こんにゃくを開封した瞬間に広がる、あの独特の匂い。正体は製造工程で使われる凝固剤、すなわち水酸化カルシウムなどのアルカリ成分に由来する。こんにゃく芋に含まれる食物繊維「グルコマンナン」を固めるために不可欠な物質だが、これが残留することで特有のアミン臭を放ち、調味料の浸透を阻む障壁となってしまう。
一般社団法人日本こんにゃく協会によれば、近年の製造技術向上によって市販品のアク自体は減少傾向にある。それでもなお、加熱による脱水とアルカリ成分の揮発は欠かせない。湯通しによって表面の余分な水分が抜けると、繊維の隙間に煮汁が入り込むスペースが生まれる。科学的な根拠を知れば、この数分間の作業が決して無駄ではないと納得できるはずだ。