今回、カウンターで特別に実演してもらったのは、長年の経験に裏打ちされたハンドドリップ抽出の精緻なプロセスだ。使用するのは厳選されたシングルオリジンと季節のハウスブレンド。注がれる湯の温度は豆の焙煎度に合わせて88度から92度の間で精密にコントロールされる。細口ポットから落とされる最初の一滴が粉の中心に落ちると、ふっくらとしたドーム状に膨らみ、豊かな炭酸ガスとともに甘いアロマが立ち込める。
「湯を置くように注ぎ、豆の層を崩さずに旨味の中心だけを落とす」。カウンター越しにバリスタが語る言葉通り、抽出された液体は透き通った深い琥珀色をしている。一口含むと、ダークチョコレートを思わせる重厚なコクが広がり、後口にはブラックチェリーのような気品ある余韻が長く続く。雑味は皆無だ。さらに取材当日に提供された限定メニューの自家製スイーツとのペアリングでは、芳醇なバターとほろ苦いキャラメルが珈琲のコクと共鳴し、極上のマリアージュを完成させていた。