皮膚の表面が薄くひび割れたように見える線について、「妊娠線」と「肉割れ」で何か根本的な違いがあるのかという疑問は根強く存在します。結論から言えば、医学的にはどちらも「皮膚伸展線条(線条斑)」と呼ばれる同一の現象です。
発生のきっかけが妊娠に伴う急速な腹囲の拡大である場合を「妊娠線」、急激な体重増加、急激な筋肉増強、成長期の身長の急伸などに起因する場合を一般に「肉割れ」と呼び分けています。
表皮はある程度伸縮性を持っていますが、その下層にある真皮層と皮下組織は急激な引っ張りに耐えられません。許容範囲を超えて皮膚が引き伸ばされると、コラーゲン線維が断裂し、皮膚の深部で微細な亀裂が生じます。初期段階では断裂部毛細血管が透けて赤や紫色の線として現れ、時間の経過とともに瘢痕化(はんこんか)して白っぽく光る線へと変化します。
一度白色化して定着した真皮の断裂を、セルフケアだけで完全に元の状態へ復元することは極めて困難です。だからこそ、皮膚に赤みや痒みが生じる「前兆段階」や、線が赤紫色をしている初期段階での早期介入が決定的な分かれ道となります。