予後を左右する最大の要因が「早期発見」である事実に変わりはない。胃壁の内側から発生する胃がんは、初期段階では痛むこともなければ出血を伴うことも稀で、自覚症状はほぼ皆無だ。みぞおちの不快感や食欲不振、黒色便などの症状が現れたときには、すでに病期が進んでいるケースが少なくない。
早期病変を捕捉する主役は内視鏡技術だ。高精細なハイビジョン画像、病変の血管パターンを強調するNBI(狭帯域光観察)、さらにはAIによる病変検出支援システムが内視鏡室に定着した。微細な粘膜病変であっても、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)によって胃を温存したままミリ単位で完全切除できる。
NHK健康チャンネルなどの医療メディアでも繰り返し警鐘が鳴らされている通り、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌歴がある人も過信は禁物だ。ピロリ菌除菌後も発がんリスクはゼロにはならず、除菌後胃がんは見落としやすい平坦な病変を形成することがある。定期的な内視鏡検査をルーティン化することこそが、生存率95%超のゾーンに身を置くための鉄則だ。