茅の輪くぐりとは、神社の境内に設置されたカヤ(チガヤ)などのイネ科植物で編まれた大きな輪をくぐり抜けることで、知らず知らずのうちに身についた半年間の「罪・穢れ(つみ・けがれ)」を祓い清め、残り半年の無病息災・厄除けを祈願する神道儀礼です。
日本古来の神道では、人は日々の生活の中で少しずつ「気枯れ(けがれ=生命力が衰えること)」や過ちを溜め込んでいくと考えられてきました。この穢れを放置すると心身の不調や社会的な災厄を招くため、節目ごとに大規模な禊(みそぎ)を行う伝統が確立されました。これが毎年6月と12月の最終日に行われる国宝級の宮中儀礼・神社祭祀「大祓(おおはらえ)」です。
とりわけ6月30日に執り行われる大祓は「夏越の祓」と呼ばれます。蒸し暑さが増し、食中毒や感染症が多発しやすかった古代の夏場において、疫病を避けて酷暑を乗り切るための切実な祈りが込められていました。これに対し、12月31日の大祓は「年越大祓(としこしのおおはらえ)」と呼ばれ、新たな年神様を迎えるために1年全体の穢れを落とす儀式です。茅の輪が設置されるのは主に6月の夏越の祓であり、真夏の過酷な気候を乗り切るための生命力補給という意味合いが強く反映されています。