発掘された木製品や繊維類は、空気に触れた瞬間から急速に劣化が始まる。文化庁の指導のもとで進められる博物館・文化財保存事業の最前線展示では、真空凍結乾燥装置や樹脂含浸法など、高度な保存科学技術の裏側が惜しげもなく公開されている。遺物を「残す」ための科学者たちの戦いは、発掘そのものと同じくらいドラマチックだ。
館内の体験にとどまらず、文化遺産オンラインへの情報集約やGoogle Arts & Cultureを通じた高精細画像の全世界配信など、デジタル技術を駆使した発信力も凄まじい。奈良の片隅にある知の拠点が、地球規模のオープンミュージアムとして機能し始めている事実に胸が熱くなる。