かつて「夏の昼下がりに仕方なく食べる手抜き料理」という不名誉なラベルを貼られた時代もあった。だが現在、そのパーセプションは完全に覆されている。百貨店の特設コーナーには木箱に収められたヴィンテージ麺が並び、都市部ではそうめん専門のコース料理を提供する割烹が連日満席の賑わいを見せる。
背景にあるのは、「シンプルだからこそ、極上を知りたい」という消費者のマインドシフトだ。熟成期間によって変化するコシの違いを利き比べるテイスティングセットや、全国の希少産地を巡るサブスクリプションサービスが人気を博す。日用品の顔をした嗜好品。日常着のまま愉しめる贅沢。七夕というハレの日は、いつもよりほんの少し良い麺を手に入れるための、絶好の口実として機能している。