皮膚科で処方された外用薬を塗っているにもかかわらず、一向に良くならない、あるいは塗るのをやめると以前より激しくぶり返すという声を頻繁に耳にします。ここには、外用薬の選択と使用期間を巡る重大な落とし穴が存在します。
炎症が急激で赤みが強い場合、皮膚科では短期間のステロイド外用薬(ロコイドやキンダベートなど中等度以下のクラス)が処方されることがあります。ステロイドは強力な抗炎症作用を持つため、塗布して数日で劇的に赤みが消え去る体験をします。しかし、ステロイドにはマラセチア菌そのものを殺菌する力はありません。それどころか、局所の免疫力を低下させる作用があるため、漫然と2週間〜1ヶ月以上塗り続けると、水面下でマラセチア菌や毛包虫(ニキビダニ)が爆発的に増殖します。
その結果、薬の中止とともにリバウンドが起き、激しい発赤、丘疹(小さなブツブツ)、皮膚の菲薄化(薄くなること)、毛細血管拡張が生じる酒さ様皮膚炎(しゅさようひふえん)へと移行してしまう危険性があります。臨床現場の皮膚科専門医への取材でも、「鼻の脇の赤みで受診する患者の約3割が、不適切なステロイド連用による複合的な炎症に陥っている」との指摘がなされています。
また、小鼻の赤みは脂漏性皮膚炎だけでなく、血管運動神経の異常に起因する「酒さ(第1期・紅斑毛細血管拡張型)」や、化粧品かぶれによる「接触皮膚炎」との鑑別が極めて重要です。自己診断で手持ちの塗り薬を使い回す行為は、取り返しのつかない肌トラブルを招く危険を孕んでいます。