東野圭吾による原作小説とフジテレビ映像化チームによる映画版には、物語の骨格を保ちつつもメディアの特性に合わせた秀逸なアレンジが施されています。
最大の違いは、女性刑事・内海薫の存在です。原作小説の初期短編では草薙俊平が湯川の唯一の相棒でしたが、ドラマ化にあたり柴咲コウ演じる内海薫がオリジナルキャラクターとして創出されました。理屈一辺倒の湯川と感情豊かで粘り強い内海の掛け合いが大好評を博し、後に原作者の東野圭吾自身が小説版にも内海薫を逆輸入して登場させるという異例の展開を生みました。
また、キャラクターのビジュアル面でも、原作の湯川が「黒縁メガネをかけた地味で偏屈な研究者」であるのに対し、映画版では福山雅治のスタイリッシュでエレガントな佇まいが全面に押し出されています。『容疑者Xの献身』における雪山での対峙シーンなど、映画ならではの視覚的ダイナミズムを付加した改変も見事な成功を収めました。