リリースから歳月が経過した現在でも、SpotifyのプレイリストやYouTubeのミュージックビデオ再生数は衰えを見せない。目まぐるしくトレンドが移り変わる現代の音楽配信業界において、旧譜でありながらストリーミングの再生回数を伸ばし続ける『幻』の挙動は、きわめて異例だ。TikTokなどの短尺動画メディアで若年層に発見され、そこからフル尺の楽曲へ流入する循環が定着している。
一発屋的なキャッチーさではなく、聴くたびに深まる叙情性がデジタル世代のリスナーを捕らえて離さない。アルゴリズムを超えて人の心に伝播していく現象は、本物の楽曲だけが持ち得る強靭な生命力を証明している。