ネット上のレシピでは「フライドチキン下味一晩漬け込むと美味しくなる」という情報を頻繁に見かけます。しかし、調理科学の観点から見ると、これは必ずしも正解とは言えません。むしろ家庭での失敗を引き起こす大きな盲点となっています。
塩分濃度の高いタレに肉を一晩(8時間以上)浸潤させ続けると、浸透圧の働きで肉内部の貴重な遊離水分が外に流出しきってしまい、揚げる前に肉質が脱水状態に陥ります。結果として、いくら低温で丁寧に揚げても「硬くて筋っぽい仕上がり」になってしまうのです。
家庭で作る場合のベストな漬け込み時間は「常温なら20分〜30分、冷蔵庫なら最長2時間程度」。お肉を常温に戻してから揚げることで油の温度低下を防ぐ効果も得られるため、短時間で十分に中まで旨味を行き渡らせるのがプロの現場におけるスタンダードです。