本作の構造を語る上で欠かせないのが、現代日本映画を牽引してきた二つの巨木からの影響と、その鮮やかな昇華である。家族や個人の機微を冷徹かつ温かな眼差しで切り取る是枝裕和監督の手法を彷彿とさせる緻密な対話劇。一方で、光の粒子や積乱雲のグラデーションに思春期の激情を重ね合わせる手法には、新海誠監督が切り拓いたアニメーション的抒情詩の手触りがある。
実写とアニメーションの境界線が溶け合うかのような映像美のなかで展開されるのは、逃げ場のない現実を生きる若者たちの心理描写だ。単なるノスタルジーに逃げ込まず、痛烈な社会性を帯びたヒューマンドラマとして成立させた手腕は、批評家筋からも「2026年代後半の日本映画界における記念碑的到達点」と絶賛を浴びている。