「殴られないからDVではない」という誤解は、もはや過去のものだ。精神的虐待への社会的な眼差しはここ数年で激変した。ドラマ『夫を社会的に抹殺する5つの方法』をはじめとするエンターテインメント作品のヒットや、Netflixで配信される海外のノンフィクションドキュメンタリー、そしてNHKスペシャルなどで特集された密室の支配構造は、多くの被害者に「これは私がおかしいのではない」という気づきを与えている。
社会心理学の観点からも、この現象のメカニズム解明が進む。ベストセラー著者として知られる加藤諦三が長年指摘してきたように、不当な罪悪感を植え付けて相手をコントロールする手法は、攻撃者の歪んだ承認欲求に起因する。心理学が解き明かすモラハラの本質とは、自身の劣等感を隠すために身近な人間を情緒的に支配しようとする、極めて幼く身勝手な心理的欲求にほかならない。